家族信託の動画「④共有状態解消」の解説
家族信託の動画「④共有状態解消」
(YouTubeサイトに移動します。)
不動産の共有はおすすめできません
動画でもお話ししていますが、
財産、特に不動産の共有はおすすめできません。
(ブログ「不動産の共有」をご覧ください。)
不動産全体を売却する、
老朽化した建物を解体するなどの処分行為は、
共有者全員の同意が必要です。(民法251条)
※ 民法251条の「変更」には管理以外の
処分行為が含まれていると解されています。
共有状態が続くと、共有者が死亡して相続が発生し
例えば兄弟姉妹の共有 → いとこ同士の共有 → さらにその下・・・
と、疎遠な人同士の共有となり、人数も増えてきます。
そうすると、認知症の人や「争族」でもめている人が現れたりして
もはや全員の同意をとることは難しく
売るに売れない、壊すに壊せない不動産が生まれてしまいます。
※ 空き家問題の多くは、所有者が死亡してもそのまま放置され
相続人が子 → 孫 → ひ孫と代替わりして、実質的に多人数の共有状態となり、
全員の同意がとれないことが原因の一つとなっています。
そもそも賃貸不動産であれば、すぐに売ったり壊したりしないでしょう。
しかし、共有状態が続けば将来、トラブルが起きそうです・・・
「共有状態解消」信託
そういうときでも、全員が同意できる時点であれば
家族信託でトラブルの予防が考えられます。
動画の例では、共有者の子どもの一人を受託者、
共有者全員を委託者兼受益者として
共有不動産を信託財産としています。
不動産の名義は受託者一人に一本化され
管理・処分の権限を与えておけば、
元共有者である委託者(受益者)の同意なしで
受託者が単独で売買などを行えます。
委託者(受益者)の一部が認知症になったり、相続でもめたりしても、
受託者が単独で売買などができることに影響はありません。
元共有者の受益者は信託契約の規定などに基づき、
代金・賃料の分配を受けることになります。
受託者の一存で売却できるのに抵抗を感じるのであれば
例えば、売却には受益者(受益権)の過半数の賛成が必要などと
信託契約で定めることも可能です。
なお、受益者に対する金銭の分配は
現物の不動産そのものを分けるよりは簡単ですが、
受益者が増えると、認知症、争族、行方不明などの受益者が現れ
利益の分配に問題が発生するかもしれません。
そういった場合に受託者はどのように対応したらよいか
信託契約で規定しておけば、信託財産や受託者が無用なトラブルに
巻き込まれることを防げると考えられます。
※ もちろん、最初の時点でできるのであれば
共有を回避するのが最善の方法と思います。
ブログ「共有状態解消信託~研修会から~」 もご覧ください。
その他の動画(YouTubeサイトに移動します)