住宅ローンを利用した場合、
住宅と敷地に抵当権が設定されます。
そして、住宅ローンを完済したら
抵当権を抹消できるのですが、
抹消し忘れていることが結構多いものです。

完済すると、金融機関によっては
金融機関の指定する司法書士に依頼して
抹消手続きをしてくれることもあります。

しかし、多くの場合、
金融機関の窓口で手続きに必要な書類を渡される、
後日、必要書類が郵送されてくるなどして、
完済した人が自分自身で、または自分で司法書士に依頼して
抹消手続きを行わなければなりません。

抹消手続きの必要書類の中には、
有効期限(最長3か月)のある書類が含まれます。

有効期限が切れても、
新たに法務局で取得することはできますが
むだな費用がかかってしまいます。

中には、銀行から受け取った必要書類を紛失する方もおられます。
その場合は、金融機関に再発行を依頼しなければなりません。

ただし、金融機関から受け取る必要書類の中には
再発行できないものがあります。
抵当権の登記済証、いわば抵当権の「権利書」です。

前回、権利書は紛失しても再発行されないとお話ししました。
これは、抵当権の権利書でも同じです。
前回、権利書がない場合の手続きにつてもお話ししましたが、
抵当権の抹消についても同じ手続きになります。

しかし、多くの金融機関は、前回説明した手続きの内、
「事前通知」による手続きのみの対応です。
法務局に抹消登記を申請すると、
法務局と金融機関との間で通知のやり取りを行います。

紛失の場合、他の書類の再発行に時間がかかり、
通知のやり取りでも時間がかかってしまいます。

急いでいないならば構いませんが、
もし、売却することになっていて
その期限が迫っているときは注意が必要です。

売買(代金支払い)の期限までに、抵当権は抹消して、
いわばきれいな状態で買主に渡すことが売主の責任です。
抵当権の抹消書類を紛失していて、手続きに時間がかかり、
売買の期限に間に合わなければ、
契約違反として違約金を請求されても文句は言えません。

とすると、やはり、ローンを完済して
抵当権抹消手続きに必要な書類を受け取ったら、
早めに司法書士に依頼するなどして、
必ず抹消手続きを行うことが大切ということになります。

角田・本多司法書士合同事務所