遺言で指定された結果、
一定の割合以下の遺産しかもらえなかった相続人が、
一定の割合まではもらえることを主張できます。
この「一定の割合」を遺留分といいます。

遺留分は誰が相続人になるかで決まっています。
(兄弟姉妹には遺留分はありません。)

1 直系尊属(父母・祖父母・・・)のみが相続人のときは、法定相続分の3分の1

2 それ以外の者が相続人のときは、法定相続分の2分の1

下の図は「法定相続分の話」で使った図です。

もし、死亡した夫が「全財産を長女に相続させる」という遺言を残していた場合、
もらえない相続人は自分の法定相続分の2分の1、
上の例では、青字の2分の1ですから、

妻は4分の1、
二女は12分の1、
長男の子は1人あたり36分の1

の遺留分があり、自分に権利があることを主張できます。

つまり、遺留分の主張をされると、
遺言どおりに遺言者の意思が実現しないこともあるのです。

それでは遺言しても意味がないじゃないか、と思われるかもしれません。

しかし、遺留分は自分に権利があると主張して初めて認められます。
つまり、黙っていても権利は生まれません。

また、遺留分の主張は、遺言者の死亡後、
自分が遺留分を下回る遺産しかもらえないと書いた遺言の存在を
知ってから1年間経過するとできなくなります。
また、遺言者が死亡して10年経過したときも同じです。

ということは、遺言者の死亡後、
遺言のことを知って1年以内に遺留分の主張をしなければ、
結局、遺言のとおりになるのです。

また、遺言がある以上、
それに従おうという気持ちになることも多いのではないでしょうか。

そもそも、兄弟姉妹には遺留分がありませんので、
子供も直系尊属(父母・祖父母・・・)もいない人が、
配偶者に全部相続させると遺言すれば、
兄弟姉妹は手出しできません。

遺留分のことを考えると、
遺言も100%ではない部分もありますが、
でも、あればトラブル防止の役に立つことも多いと思います。

角田・本多司法書士合同事務所