借金を返してくれない知人(債務者)の財産を差押えたい・・・
今回は、差押える側(債権者)から考えてみます。

土地に抵当権を設定するなど、担保に入れた財産がない場合、
財産を差押える(強制執行)には次のいずれかが必要です。
(民事執行法22条 ただし一部省略)
1 確定判決
2 仮執行の宣言を付した判決
3 仮執行の宣言を付した支払督促
4 和解調書、調停調書など確定判決と同一の効力を有するもの
5 公正証書(金銭の支払い等を目的とし、
        強制執行に服する旨の記載があるもの)
※ これらを「債務名義」と言います。

1から4は、債務者を被告や相手方として
借金の返済を求めて裁判所に申し立てた結果作成されるもの、
5は事前に債務者と公証役場で作成するものです。

お金を貸し付けたとき、債権を保全する方法としては、
・公正証書を作成する
・不動産などに抵当権を設定する(物的担保)
・連帯保証人をたててもらう(人的担保)
などが考えられますが、いずれも相手方や
保証人となってくれる人の協力が必要です。

不動産に抵当権を設定することは住宅ローンなどでよく行われますが、
債権者が金融機関でない個人であっても、
個人を抵当権者として設定登記ができます。
抵当権があれば、「債務名義」がなくても
競売の申し立てができます。

(もっとも、すでに先順位の抵当権が設定されている場合は、
自分まで配当がまわってこないことがあるかもしれません)

しかし、知人にお金を貸すにあたって、
公正証書を作成してくれ、
抵当権を設定してくれ、とまでは言いにくいかもしれません。

そういうものがないまま、借金を返してくれなくなり、
相手の財産を差押えたい場合は、
支払いを求める民事裁判を起こす、
支払督促手続を利用するなどして、
「債務名義」を手に入れるしかありません。

強制執行を申立てるには、
債務名義に執行文を付与してもらう、
相手方に債務名義が裁判所などから届いているという
「送達証明書」を取得するといった
前段階の手続きも必要です。

これらの書類がそろえば、
強制執行の申立てとなりますが、
続きは次回に。

角田・本多司法書士合同事務所