「内容証明郵便」を送りたいのですが
という相談をときどき受けます。
そして、相談される方が、内容証明郵便に
法的に特別な効力があると思われていることも時々あります。

そんなとき、私は「内容証明郵便も
普通のお手紙も効力は同じです。」と申し上げます。

確かに、債権譲渡については、民法467条に
債権を譲り渡した債権者が債務者に通知する場合
確定日付のある証書で通知しなければ、
第三者に債権を譲渡したことを対抗できない(主張できない)
という規定があります。
確定日付のある証書での通知、
これが内容証明郵便による通知となります。

このように内容証明郵便を送ることで
法的な効力が発生することもありますが、
こちらの方がまれで
ほとんどの場合、相手に意思を表示するについて、
内容証明郵便も普通の郵便も、口頭でも効力に差はありません。

例えば、以前消費者金融からお金を借りたが残債務が残っている、
しかし、5年以上新たに借りてもないし、返済もしていない場合
時効で債務が消滅している可能性があります。
時効は借りた方から、「時効で消滅したので返済しません」などと
相手方に伝える(意思表示をする)ことで、
初めて時効により債務が消滅します。(時効の援用と言います。)

この意思表示は、電話など口頭で行っても、
普通郵便の手紙で行っても、内容証明郵便で行っても効力は同じですが
もし裁判で時効の援用の意思表示をしたかどうか争われたとき、
口頭や普通郵便では証拠を出して証明するのは困難です。

しかし、内容証明郵便は、送るときに同じ文面を3部郵便局に出して、
1通は相手に送られ、1通は控えとして自分の手元に残り、
1通は郵便局に保管されます。
配達証明付きにしておけば、どんな文面がいつ誰に送られたかについて、
郵便局の証明付きの証拠となるのです。

内容証明郵便で送るメリットは
口頭や普通郵便のように、「聞いてない」「そんな内容の手紙受け取ってない」と
言われることを防げるところにあります。
口頭でも普通郵便でも効力は同じです。
しかし、裁判で証明できなければ、
意思表示をしていなのと同じ結果になってしまいます。

また、「期限がきたのでお金返せ」でも、普通郵便で送るより、
内相証明郵便で送った方が、相手に「これは本気で請求してきてる」と思わせ、
プレッシャーをかける心理的効果があるかもしれません。
期限を決めずにお金を貸したときは、適切な期間を定めて催促すると
その期間の経過後に支払い期限がきたことになります。
そうすると催促したことが重要となります。
こういう通知は是非、内容証明郵便で送っておきたいところです。

もちろん、文面が法律的に意味のある、
裁判所に理解してもらえる内容であることも大切です。
文面の内容、内容証明郵便で送るかどうかで
後から思いがけず裁判で不利になったりしますから、
迷ったときはご相談ください。

角田・本多司法書士合同事務所