今日は、不動産を数人の共同名義(共有)にした場合のお話です。

たとえば、ある土地を
Aが5分の2、Bが5分の2、
Cが5分の1の持分割合で共有していたとします。

そんなとき、例えばAさんから、
「私の5分の2は、土地のどこからどこまでですか?」と聞かれることがあります。
以前、「通行権の確保~道路の話2」でも触れましたが、 
3人で共有しているのは、土地の「所有権」と考えた方が分かりやすいでしょう。

所有権は土地全体におよびますので、
3人で何か取決め(協議)をしていない限り、
持分割合に応じて、3人とも土地全体を使うことができます。

「持分割合に応じて」とは、
例えば、使用する回数や時間がその割合によるということです。
とは言っても、共有の私道で、持分割合が全員同じ場合でも、
通る頻度は共有者によって差があるはずです。
では、何度も通る人は、そのうち通れなくなるかというと、
道路は同時に複数の人が通ることができるはずで、
自分の通行が他の人の通行を妨げない(他の人も通れる)のであれば、
実質的に持分割合に制約されないとも考えられます。

持分割合が問題となるのは、
共有者で不動産の使用方法について取決め(協議)をする場合です。
これは共有不動産の「管理」にあたるとされ、
過半数割合の過半数で決定します。
先ほどの例では、ABCの誰もが1人で過半数の持分を持っていないので、
使用方法を協議するときは2人以上が賛成しないと決まりません。

そして、例えば共有の山林を伐採する、
共有土地を売却するなどの行為は、共有不動産の「変更」にあたり、
共有者全員の同意がなければすることができません。
売却したとき、代金は持分割合に応じて分配されると考えられますが、
売却自体には全員の同意が必要です。

共有不動産を貸す行為は、「管理」か「変更」かで説が分かれていて、
必ずしも定かではありませんが、
トラブルを避けるためには、全員で同意して行うのが好ましいでしょう。

このように、共有不動産には様々な制約があります。
一人でも反対すると、売ることもできません。
(貸すこともできない可能性があります。)
使用方法でもめることもあるかもしれません。

私道、団地内の公園、地元の人たちが共同で使う山林、
夫婦が共同で出資して購入したマイホームなど、
共有にしておかなければならない場合を除いて、
不動産を共有することは、デメリットが多く、
好ましい状態とは言えないと思います。

不動産が共有になるきっかけは色々あるのでしょうが、
よくあるのはやはり相続でしょう。

相続人が3人いて、遺産分割協議がなかなかまとまらない。
しょうがないので3人が3分の1ずつの共有にした・・・などの場合です。
親子で共有、兄弟で共有ならまだしも、
年月が経ち、その子たちの共有、さらにその孫たちの共有・・・
そうなると、共有者の人数は増え、お互いに疎遠になっていきがちです。
共有者の過半数が「売ろう!」と言っても売れません。
大抵その不動産は、元の共有者のうちの一人の子孫が使っていたりします。
共有者の子孫の一人が権利を主張して使用方法についてもめるかもしれません。

相続での遺産分割で共有にすることは
できるだけ避けた方が良いと思います。

共有となってしまった不動産の
共有状態を解消する方法はあるのでしょうか?
続きは次回にお話しします。

角田・本多司法書士合同事務所