家族信託と税金1
※ 家族信託の解説動画を作成しました!
基本的なしくみと代表的な活用例4つの5本立てです。
是非ご覧ください。
今回と次回は、家族信託の税金について
まとめてみたいと思います。
※ 最終的な税金の計算や申告は
税務署や税理士にご確認ください。
一般的な家族信託ですので
① 受益者がいること
② 受益証券が発行されていないこと
③ 当事者は個人であること(法人でないこと)
を前提としてお話をします。
1 受益者を基準に考えます(受益者等課税信託)
信託では、財産の所有者は受託者ですが、
税制上は、受益者が財産を所有しているものとして課税されます。
評価は財産の評価と同じと考えます。
※受益者以外でも、信託を変更する権限を有し、
信託財産の給付を受けることとされている者も
受益者とみなして課税します。
ですので例えば、信託財産が賃貸物件だった場合、
受益者がその賃貸物件を所有しているのと同様に、
家賃などの収益は受益者の収入として、
かかった費用は受益者の経費として計算し、課税されます。
実際に受益者が、受託者から配当を受け取ったかどうかは問いません。
ただし、信託した賃貸物件について
ある年度に経費が収益を上回り損失が生じた場合でも、
不動産所得において損失はなかったものとみなされるので、
受益者の他の所得との損益通算はできません。
2 信託の設定時
① 委託者=受益者の信託
税制上、もとの所有者だった委託者から
受益者が信託財産を取得したと考えますが、
委託者=受益者の信託の場合は
所有者が変わらないことになりますで、
信託の設定にともなう課税はありません。
(参考事例:ブログ「高齢の自分に代わって、財産を管理して欲しい」)
② 委託者 ≠ 受益者の信託
税制上、受託者が信託財産を
委託者から取得したと考え課税されます。
正当な対価が支払われていないのであれば、
委託者から受益者へ、信託財産の贈与があったものとして
受益者に贈与税が課税されます。
(参考事例:ブログ「財産を贈与したい でも管理も続けたい2」)
3 信託の設定中
① 受益権が贈与・譲渡された場合
受益権が贈与・譲渡された場合でも、
税制上は信託財産そのものが贈与・譲渡されたものと考えます。
正当な対価が支払われていないのであれば
新受益者に贈与税が課税されます。
正当な対価が支払われていれば、
旧受益者に譲渡所得税が課税されることがあります。
② 受託者が信託財産を譲渡した場合
受託者が信託財産を第三者(譲受人)に
売却したりした場合です。
所有権は受託者から譲受人に移りますが、
税制上は、受益者が譲受人に信託財産を譲渡したもの考えますので、
受益者に譲渡所得税が課税されることがあります。
続きは次回「家族信託と税金2」へ